2日の仮想通貨(暗号資産)市場は全面安となっている。100倍レバレッジで有名な仮想通貨取引所ビットメックスが米商品先物取引委員会(CFTC)がアーサー・ヘイズCEOらを訴追したことを受けて、市場の反応が嫌気をさしているのかもしれない。

ビットコイン(BTC)は過去24時間で2%ほど下落し、10500ドル付近まで落ち込んでいる。

(出典:Coin360「10月2日 午前11時00分」)

短期的に下落

CFTCは、ビットメックスの運営者としてアーサー・ヘイズCEO3名と5つの企業を訴追。CFTCは、「不法に入手した利益」全ての返金と罰金、永久的なトレーディング禁止、また将来的な違反防止策を求めている。

今回のビットメックス訴追を受けた市場の反応について、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスでチーフエコノミストを務めるフィリップ・グラッドウェル氏は「短期的にさらに下落する」と予想する。

同氏によると、ビットメックスは現在16万BTC(約1800億円)を保有している。今回の訴追を受けて、ビットメックスでの資産の安全性に不安感が出ることで、数万のビットコインが引き出されるという。

こうして引き出されたビットコインの一部が、別の取引所で売られることで売り圧力に繋がり、価格の下落要因となる。

グラッドウェル氏は注目すべき点として、取引所に対して個人のウォレットにどれだけ移動するのか、そしてどの取引所に移動されるのかという点を挙げた。グラッドウェル氏自身は、ビットメックス以外の規制されていない取引所からの流出が加速し、それらのビットコインが規制下にある取引所に入金されるのではないかと話した。

仮想通貨データ提供企業であるSkewが指摘するように、ビットメックスでの建玉にはまだ大きな変化は見られていない。

しかし、グラッドウェル氏はもしポジションの巻き戻しが行われた場合には「価格が大きく変動することが予想される」としている。

「ビットメックスは主要なデリバティブ市場であり、価格発見(プライス・ディスカバリー)の場でもあった。(中略)仮想通貨が真に機関投資家レベルのインフラを構築できているかどうかのテストになるだろう」

長期的にポジティブ材料

ただ、こうした要素がありつつも、同氏は「長期的には非常にポジティブな材料となる」とみる。

「私は仮想通貨市場がこのテストを通過できると考えている。長期的には非常にポジティブなシグナルになるだろう」

この理由としては、規制が整うことで機関投資家の参入が促されることにつながるという。

「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でのデリバティブの成長が示すように、機関投資家が規制された市場を好むために、今回のような訴追は強壮剤となるかもしれない。(中略)彼らのアセットクラスに対する姿勢は長期的なもので、これはコンプライアンスの整備によってのみ強化されるからだ」