今週、米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長は米議会の公聴会に出席し、ビットコインからポケモンカードまで厳しい質問を議員から受けることになった。

9月27日、米国証券取引委員会(SEC)のトップであるゲンスラー氏は、市場監督について議論する公聴会で議員たちの前に立った。以下は、その公聴会のハイライトだ。

証券規制のトーニャ・ハーディング

独特な比喩の1つは、米下院アンディ・バー議員からのものだ。彼はゲンスラー氏が官僚主義的な規制で米国の資本市場の「足を引っ張っている」と非難した。

バー氏は、ゲンスラー氏が以前、「米国は世界最大かつ最も洗練された革新的な資本市場であり、金メダリストであっても常にトレーニングを続けなければならない」という発言を引用した。

「敬意を表して申し上げるが、もし米国の資本市場が金メダリストなら、あなたは証券規制のトーニャ・ハーディングだ」とバー氏は語った。

「あなたの委員会から出てくる官僚的手続きの雪崩で、米国の資本市場を足を引っ張っている」。

バー氏が言及しているのは、1994年の米フィギュアスケート選手権と冬季オリンピックに向けて、トーニャ・ハーディングがライバルのナンシー・ケリガンを攻撃するために襲撃者を雇ったスキャンダルのことだろう。ケリガンは結局、米国選手権に出場することが出来なくなった。

バイデン政権に解雇されればいいのに

一方、ウォーレン・デビッドソン議員もゲンスラー氏を厳しく非難し、バイデン政権が彼を解雇するべきだと語った。

「バイデン政権があなたを解雇すると言ってくれることを願っている」。デビッドソン氏は、ゲンスラー氏が「ウォーク(目覚めた)」な政治・社会的なアジェンダを押し進め、SECの委員長としての役割を乱用していると非難した。

デビッドソン氏はまた、自身がトム・エマー下院議員と共に提出したSEC安定化法案がゲンスラー氏解任を可能にすることを期待していると付け加えた。「あなたが委員長として行動するたびに、この法案(SEC安定化法案)の必要性を証明している」と彼は結論づけた。

ゲンスラー氏は反論する機会を与えられなかった。

ビットコインは証券ではない

金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長からビットコインが証券であるかどうかを問われたゲンスラー氏は、最終的にビットコインがハウィーテストを満たさないと述べた。

「それは国の法律であるハウィーテストを満たしていない」とゲンスラー氏は語った。これはビットコインが証券ではないということだ。

マクヘンリー氏は、ビットコインが商品であるべきだと提案したが、ゲンスラー氏はそれに答えることを避け、ビットコインは米国の証券法の範囲外であると述べるにとどまった。

マクヘンリー氏はまた、ゲンスラー氏が「デジタル資産エコシステムを窒息させようとした」とし、SECとFTXおよびその元CEOサム・バンクマン-フリード氏との関係について議会に説明責任を果たしていないと主張した。

ゲンスラー氏は、マクヘンリー氏が提起した主張に対して反論する機会を与えられなかった。

ポケモンカードは証券にあたるのか?

リッチー・トーレス議員は、何が投資契約を構成するかを巡るゲンスラー氏の解釈について質問した。

トーレス氏は、物理的なポケモンのトレーディングカードを購入することが証券取引を構成するかどうかとゲンスラー氏に尋ねた。

「もし私がポケモンカードを購入したとしたら、それは証券取引を構成するのだろうか?」との質問に対して、ゲンスラー氏は「それがどういう状況なのかわからない」と応え、最終的には店舗で購入された場合、それは証券ではないと結論づけた。

その後、トーレス氏は「もし私がデジタル取引所でブロックチェーンを通じてトークン化されたポケモンカードを購入したとしたら、それは証券取引なのでだろうか?」と質問したが、「もっと詳しく知らなければならない」とゲンスラー氏は答えた。

後ろの席では

一方で、ゲンスラー氏と下院議員たちとの間の質問のやり取りの中で、鋭い観察者たちは、SEC委員長の背後にコインベースの「スタンド・ウィズ・クリプト」のロゴがあることに気付いた。

このコインベース主導のイニシアチブは、8月に始まった14ヶ月間のキャンペーンで、米国での仮想通貨立法を推進することを目指している。コインベースはまた、「スタンド・ウィズ・クリプト」を9月27日にワシントンD.C.で開催し、より良い仮想通貨のイノベーションと政策を求める活動を行った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン