22日にビットコインが3万ドルを割り込んだ後に反発した値動きは、古典的な金融モデルを使うことで強気相場にあるということが説明できそうだ。

1888年に米国の投資家でジャーナリストのリチャード・ワイコフ氏が考案した「ワイコフ理論」というモデルがある。これは資産の需要と供給に基づき、金融市場の動向を把握しようとするテクニカル分析だ。ワイコフ理論はアキュムレーション(蓄積期間)とディストリビューション(分配期間)という2つの要因によって上昇トレンドと下降トレンドが起きることが説明される。

アキュムレーションでは、該当資産は価格が急激に下落した後に底値を打つ。そして最終的には価格が上昇する。一方のディストリビューションでは価格が堅調に上昇した後に資産が天井を打ち、価格は下落する。

それぞれにはフェーズAからフェーズEまでの5段階のフェーズがある。例えばディストリビューションでは資産は次のような段階を経る。

まずはフェーズAだ。ここでは、PSY(The Preliminary Supply)、BC(The Buying Climax)、AR(Automatic Reaction)、ST(Secondary Test)によって構成される。

「PSY」は上昇トレンドを止めるほどではないまでも、売り圧力が出ていることを示す。その後「BC」が発生し、「AR」によって大口投資家などが小口投資家に分配し始める。そして「ST」で高値をトライする。

その後フェーズBやフェーズCの「SOW(Sign of Weakness)」で弱気を示しながらも高値を示すダマシである「UTAD( Upthrust After Distribution)」を経て、フェーズDで「LPSY(Last Point of Supply)」で安値を切り下げながら徐々に売り圧力が高まり、最終的にフェーズEの下降トレンドとなる。

Wyckoff events and phases during distribution

一方のアキュムレーションでは、「PS(Preliminary support)」、「SC(Selling Climax)」、「AR(Automatic Rally)」、「ST(Secondary Test)」、「LPS(Last Point of Support)」とディストリビューションとちょうど反対の流れを示し、上昇トレンドにつながる。

Wyckoff events and phases during accumulation

ワイコフ理論からビットコインは強気

ビットコインの最近の値動きと、ワイコフ理論のアキュレーションを比較すると、ビットコインは現在、フェーズCのLPS付近にあるようだ。

Bitcoin phases imagined per Wyckoff Accumulation Schematic. Source: TradingView.com

上記のチャートのフェーズAではST(28800ドルから30000ドル)とSCで、下落の勢いが尽きたことを示す。

フェーズBではビットコインに対する機関投資家の需要とショートカバーの両方に導かれて、ARが示された。その後、STに向けて何度も下落し、フェーズAのSCの水平線をテストした後、反発した。

現在、ビットコイン価格はフェーズCに入っており、上昇トレンドに移るかどうかは、進行中の反発がSC-STフェーズを超え、より強いボリュームを伴う場合に行われる。

フェーズDとフェーズEは、60,000ドルに向けたトレンドになるだろう。

マーケットアナリストのケビン・スウェンソン氏は、「可能性はあると思う」と述べる。「このモデルが実現すれば、これからは回復の最終段階に入るだろう」と主張した。

「ワイコフ理論では、28800ドルの下値は、65000ドルの高値と非常によく似ている。どちらも市場参加者に最大の心理的効果をもたらす」

一方、ブルームバーグ・インテリジェンスのシニア・コモディティ・ストラテジストであるマイク・マクグローン氏は、ワイコフ理論に言及していないものの、3万ドル付近で強気の反発を繰り返すことは、2019年から2020年にかけてビットコインが4000ドルから反発した動きと類似していると指摘した

Bitcoin bulls show resilience at $30,000. Source: Bloomberg Intelligence

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