著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
先週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比136,005円(2.19%)高の6,347,000円と2週続伸。先週もイーサリアム(ETH)を筆頭に時価総額上位のアルトコイン相場が急伸する中、ビットコイン相場の上昇率は控えめとなった。市場全体で買いの順回転が継続しているが、ビットコインは対ドルで2月高値水準となる634万円周辺で繰り返し戻り売りが入っており、上値を抑えられている格好だ。
7日に発表された4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比26.6万人の増加となり、100万人前後の増加という市場の予想を大幅に下回り、失業率も3月の6%から6.1%に上昇したものの、雇用回復の鈍化は連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和策を正当化するもので、早期の利上げやテーパリング(量的緩和の段階的縮小)観測が後退し、ドルの下押し圧力となった。
ビットコインはこれ受けて、一時、対ドル2月高値に乗せたが、8日放送された米娯楽番組のサタデー・ナイト・ライブ(SNL)にてイーロン・マスク氏が期待通りドージコイン(DOGE)について言及すると、事実売りが入りドージコイン相場が急落。ドージコインはドルテザー建てで一時40%強押し、市場全体に売りが波及する形でビットコインには2月高値を再び割り込み、9日には615万円まで押す場面があった。
ただ、その後スペースXがドージコインで支払われたジオメトリック・エナジー・コーポレーション(GEC)の商業月輸送ミッション「DOGE-1 Mission to the Moon」を発表すると、ドージコインは反発。この日はライトコイン(LTC)やビットコインキャッシュ(BCC/BCH)も強含み、ビットコインも630万円台中盤に戻した。
第1図:BTC対円チャート 1分足 出所:bitbank.ccより作成
第2図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
続きはこちら