近年、ChatGPTのような生成型人工知能モデルが注目を集め、マイクロソフトやグーグルといった大手企業も競って参入を進めている。そんな中、アマゾンが新サービス「Bedrock」と「Titan」を発表した。

Bedrockは、アマゾンウェブサービス(AWS)ユーザーが、基礎モデル(FMs)を使って生成型AIを構築できるようにする。例えば、ChatGPTはGPT-4をベースにした生成型AIアプリケーションだ。

同社のブログ記事によると、Bedrockは「サーバーレスな体験」で、ユーザーが自分のデータで基礎モデルをカスタマイズし、アプリケーションに簡単に統合・展開できるという。

また、Bedrockの発表に合わせて、アマゾンは自社開発の2つの新しい基礎モデルを含む「Titan」も発表した。

現在、Titanに関する詳細はほとんど明らかにされていないが、AWSバイスプレジデントのブラティン・サハ氏は、アマゾンのホームページで検索結果を表示するために「微調整されたバージョン」のTitanが使用されていると語った。

Bedrockは、他社の人気モデルも利用できるようになる予定で、ジュラシック2(多言語学習モデル)や、アンソロピック社が開発した会話型エージェント「クロード」などが含まれる。

さらに、スタビリティAI社のモデルをAPIで利用できるようにし、人気のテキストから画像生成ツール「Stable Diffusion」も提供される。

GPT-4の発表から1ヶ月が経過しているものの、BedrockとTitanがAWSの普及率と使いやすさを武器に、既存の市場リーダーにとって脅威となる可能性がある。

生成型AIモデルの訓練費用は非常に高額だ。データセットで訓練されたモデルは、そのデータで「汚染」され、関連性のないクエリに対しても情報を「幻覚」させる可能性がある。

Bedrockは、既存の基礎モデルを自分のデータのサポートに利用できるオプションを提供し、この問題を回避する。AWSの既存顧客や、AWSエコシステムにデータを持ち込む顧客にとって、これはデータが通常通りアマゾンのクラウドで安全に保管され、訓練データセットに注入されることがないことを意味する。

アマゾンの発表によると、「顧客のデータは基礎モデルの訓練には使用されず、すべてのデータが暗号化され、顧客の仮想プライベートクラウド(VPC)から出ないため、顧客はデータがプライベートで機密性が保たれることを信頼できる」という。

アマゾンは、自社のBedrockサービスと新しい大規模LLMの発表をもって、グーグルのバードとマイクロソフト・OpenAIのChatGPTとの戦いをさらに激化させることを目指している。

TitanとBedrockが初の一般向け生成型AIモデルに加わる中、世界中の技術企業が参入を準備している。中国のアリババは、西洋企業が主導する市場に競争をもたらすことを期待して、独自のAIチャットボット「同意千問」をデビューさせる予定だ。