今年の新興国への送金額が過去最高を記録する見込みだと8日に世界銀行が発表したクロスボーダーの送金分野に関しては、ブロックチェーン企業のリップルやJPモルガン・チェースのIINなどが1973年のSWIFT(国際銀行間金融通信協会)の牙城を崩すか注目が集まっている。

世界銀行によると、今年の新興国への送金額は10.8%プラスの5280億ドル(約60兆円)。国別でみると、インドが800億ドルと首位をキープし、中国の670億ドル、メキシコとフィリピンの340億ドル、エジプトの260億ドルが続く。

(引用元:世界銀行「2018年の送金額」)

また世界銀行は、2018年の第3四半期で200ドルを送金する際の平均コストは6.9%と高いままだと指摘。2030年までに送金コストを3%まで引き下げることは、国連が掲げる持続可能な開発目標の一つだと指摘した。

国際送金のコスト削減をめぐって、新旧送金サービス企業の競争が激しくなっている。

SWIFTは7日にクロスボーダーでの送金スピードを高め、エラーを少なくするため、APIを基盤にした新たなシステム構築に向けて動き出していると報じられた。SWIFTは1973年に設立。SWIFTが提携する金融機関は世界200カ国に1万1000あり、金融システムの遺産的な存在だ。ただ、送金スピードが遅く数日かかることが批判の的となっており、この問題を解決するブロックチェーン企業としてリップルやIINなどへの注目度が高まっている。

リップルは、送金完了に数秒しかかからず、「銀行はリップルを通して60~70%のコスト削減することが可能」。現在、リップルのxCurrentは100社以上の金融機関と提携。仮想通貨リップル(XRP)の利用が義務となるxRapidも10月に商業利用がスタートしたと発表された

またIIN(インターバンク・インフォメーション・ネットワーク)は、米銀大手JPモルガン・チェースが開発したブロックチェーンを基盤に動く銀行間送金ネットワーク。JPモルガンは、9月にみずほ銀行、りそな銀行、三井住友銀行などが75行が参加すると発表した。マネーロンダリング(資金洗浄)対策に必要な情報の照会手続きを早めることで、国を超えた銀行間での送金スピードをあげる狙いだ。