あらゆる金融商品の中でも、仮想通貨をはじめとするデジタル資産は、昨今の不確実性高まる経済下においても強い「耐性」を持つことが証明されつつある。多くの国々で、絶望的な経済状況に対して悲壮感ただよう対策が講じられているが、肝心の波及性の高い産業部門においては回復が十分ではない。

このような試練のときに、あなたは自分の資産を増やすことができるのだろうか? 結論からいえば、適切な投資戦略さえ用いれば、十分な収益を上げることが可能だ。その1つの方法が、裁定取引(アービトラージ)である。裁定取引においては、収益は経済状況には依存せず、もっぱら「価格の非対称性」から得られる。しかも、この戦略は、外国為替やコモディティ、デジタル資産など、あらゆる市場で用いることができるのだ。

裁定取引による資産増大戦略

裁定取引は、ボラティリティの高い時期に、とくに有利な戦略であることが数学的にも証明されている。長期に渡って資産が拘束される投資戦略とは異なり、裁定取引の場合は、そのような手許資金の枯渇に悩まされる必要はない。

裁定取引では、2つの異なる市場における同一資産の「価格差」を利用して収益する。簡単にいえば、ある市場で安値で購入した資産を、別の市場で高値で売却するだけのことである。このような「価格の非対称性」は、「市場の非効率性」から生じる。

具体例を挙げよう。最近のBloomberg Newsでは、原油価格の異常な変動がトレーダーに多大な収益をもたらしたことが報じられた。アジアのトレーダーたちは「異常な価格変動は、価格の地域差を生む」ことを利用して、莫大な利益を得たのだという。

このことは、大きなショックを受けた際の回復スピードが、地域によって異なることを意味する。そして、まさしくこれが、裁定取引による収益機会なのだ。

同紙の社説では「裁定取引は長続きこそしないものの、有能なトレーダーにとっては原油価格の暴落さえ災いとはならないことを如実に物語っている」と結んでいる。

通常の資産やコモディティに比べ、デジタル資産は価格の不確実性が大きい。これはオールドタイプの投資家たちからはデジタル資産が敬遠される理由となっているが、裁定取引の観点からみれば格好のチャンスに他ならない。世界にはデジタル資産の取引所が500以上あり、そこでは大きな価格差が頻繁にみられる。裁定取引をしない手はない。

裁定取引を革新する新しいテクノロジー

オルタナティブ戦略は、今やヘッジファンドの専売特許ではなく、個人投資家にとってもリスクを管理するための実行可能な手段となった。Digital Alpha Research の記事において、Alexander Opeagbe氏は自らの見解を述べている。「デリバティブ取引は、正しく行えば、リスクを増やすものではなく、むしろリスクを低減させてくれる。にも関わらず、堅実で知られる機関投資家たちが、デリバティブ取引を行う意思もなければ能力もないのは公然の秘密だ」

経験の浅いトレーダーにとって、適切な投資先を見つける「目利き」は非常に難しい。一見同じように見える、コモディティ、外国為替、デジタル資産の中から、真に成長性の高い銘柄を見つけるのは一筋縄ではいかない。一方、裁定取引では、そのような目利きは必要ない。もっぱら価格差のみに注目する。裁定取引は、かつてはコモディティや外国為替の分野で行われていたが、現在はデジタル資産の分野で行った方が収益性が高いことが知られている。

裁定取引は、原理自体は非常に単純であるが、言うは易く行うは難し。実際には高度なスキルが要求される。しかも、相場を24時間監視する必要があり、ようやく見つけた取引機会も即座に対応しなければ、すぐに賞味期限切れとなってしまう。これらの問題を一挙に解決するのが、アルゴリズムや人工知能を始めとするITだ。

Prance Gold HoldingsのCEO、Andre Gerald氏は、Hacksterで次のように語った。「デジタル資産の裁定取引の世界では、スピードこそが成功の鍵となる」同氏は、アルゴリズムおよび人工知能を通じたテクノロジーは、初心者の投資家とプロの投資家の双方にとって有益であるという。

Gerald氏はさらに、「自動化された裁定取引プラットフォームでを用いれば、最低限の労力で低リスク・高リターンが期待できる。テクノロジーの力だ。このようなプラットフォームでは、手数料差引き済みで利益が生じると見るや、即時に裁定取引が実行される」と述べている。

少々意外かもしれないが、裁定取引はトレーダーや投資家に個人的な利益をもたらすだけでなく、市場メカニズムの維持にも役立ちがある。

裁定取引は市場の均衡プロセスを促進する

ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者であるDominik Rösch 氏は、ある研究セミナーシリーズにおいて次のように語った。「裁定取引の活発化は、市場メカニズムの不均衡の解消や流動性の改善に役立つ。裁定取引は、市場メカニズムの機能不全につけ込んでいるわけだから、結果的に市場均衡と流動性に貢献するのは、むしろ当然ともいえる」

裁定取引は、投資家やトレーダーが価格差を利用して、資産の増大を図るための戦略であるだけではない。同時に「市場の非効率性のインジケータ」ともなっている。裁定取引は、市場メカニズムの健全化にも貢献しているのだ。裁定取引によって、複数の市場間のギャップが埋められ、均衡がもたらされるという実証研究もある。同時に複数の市場間の流動性も促進される。

結論

裁定取引は、決して新しい戦略ではない。デジタル資産が生まれる前からすでにあったトレード手法だ。しかし、アルゴリズムや人工知能などのテクノロジーの誕生は、裁定取引に新しい可能性をもたらした。今や裁定取引は、投資初心者にも利用可能かつ、経済状況に左右されない投資手法として、一段と脚光を浴びるようになった。そこには市場メカニズムの健全化に貢献できるという社会的意義もある。この機会に裁定取引による資産増大戦略を検討されてはいかがだろうか。

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この記事はDigital Securities Research Groupの提供によるものです。
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