世界中で送金サービスを提供するウェスタンユニオンのヒクメット・エルセクCEOが、仮想通貨送金ソリューションを業務に追加する計画が当面ないこと表明した。マーケットウォッチが13日に伝えた。

 世界最大規模の送金会社を率いるCEOは「Economic Club of New York」でのスピーチにおいて、現金のような有形資産の方が幅広く使える可能性があるため、顧客の心理がデジタル通貨よりも法定通貨に向かっていると説明した。

「消費者自身が彼らが求めているものを教えてくれる。病院代を仮想通貨で支払うことはない」

 エルセク氏は、業務をデジタル資産に拡大しない理由として、中央銀行が仮想通貨に対して一様に懐疑的な姿勢を示していることも挙げた。同氏によれば、中央銀行は地域の通貨に対する支配権を明け渡して、デジタルや分散型の代替手段に移行することに消極的だという。「国家は国旗や憲法、国境、通貨に立脚している」と語り、準備通貨を保有しながらそのような支配力を放棄することを考えている中央銀行はない、と付け加えた。

 ウェスタンユニオンは昨年12月、会社の内規により、デジタル通貨取引所が関わる電子送金取引に反対するキャンペーンを立ち上げた。レディットに投稿された内容によれば、同社は仮想通貨取引所のクラーケンに対し、内規に反するためデジタル通貨に関連した取引は処理しないと伝えたという。

 ウェスタンユニオンは2月に、リップルのブロックチェーン基盤の決済システムをテスト運用していることを認めた。エルセク氏はこの際、「決済処理や運転資本の最適化について特に調査し、ブロックチェーン機能のコンプライアンスなど、規制面も探っている」と語っている。