お金の進化における次の段階として、ビットコインは従来の通貨よりも多くの点で優れている―プライベートで、不可逆、効率的且つ、デフレ通貨である点などが主に挙げられる。しかしながら、最も優れた技術的な発明でさえも使われなければ価値がなく、そして、フィアットが未だに”現実のお金”としてのタイトルを保持し、それが一般市民の心に焼き付いているのが現状である。それを覆すためには、ビットコインがより優れた方法で利用されていく必要がある。

結局この目標を果たすためには、行き当たりばったりの戦略では上手く行くことはないだろう。簡単に言ってしまうならば―「ほら、ビットコインはすごいんだよ。だからお金の代わりに使い始めよう」などと言うことも出来るが、これでは限られた結果しか生み出すことができない。そうではなく、世界経済における仮想通貨の利用を一歩ずつ確立していくことによって、それぞれの過程のフェーズがより管理可能なものに、そして現実的なものになっていくのだ。

 

ステップ 1: 役に立つものとしてのビットコイン (通貨ビットコイン通貨到達地点)

 

最初のステップは、ビットコインを媒介装置として確立し、通常の金融取引を向上させることだ。そうすることでギフトカードをeGifterGyftなどを通して購入することや、Purse.ioを利用してAmazonで安く買い物をし、海外への送金や、unbankedな請負業者に対して支払いを行う、などの可能性が生まれる。これらの取引における当事者は、どちらもビットコインを必要としてないが、それにも関わらず特定の機能を果たす場合、ビットコインを必要とし、そして使うことになる。あるユーザーの中にはビットコインを買い、ギフトカードやAmazonでの購入を安くすませたいと考えている人もいるし、安く送金を行いたいと思うユーザーもいれば、資金受取のオプションが限られているunbankedな請負業者に対して支払いをしたいと考えているユーザーもいるだろ。

これが示していることは、ビットコインが特定の状況において役に立つツールであるということだ。ビットコインをお金として捉えていない人や、何ら価値のあるものとして見ていない人でさえ、特定の目的が果たせることにおいては有用なものだと考えるだろうし、特定の何か目的を果たすために少し買ってみようと思う人もいるだろう。消費者の脳内にはこう植えつけられるはずだ―”ビットコインは役に立つ”、と。

 

ステップ 2: 価値のあるものとしてのビットコイン (ビットコイン通貨到達地点)

 

一端暗号通貨が広く使われ、供給量の準備ができれば、次の段階は、ビットコインとして決済を行った後の通貨への換金だ。しかし最初の段階で既に恩恵を受けているので、誰も直接的には触れようとしないだろう。

現在では金融取引としてビットコインに直接触れる機会はあるため、簡単に換金し、後に販売することが可能なエンドユーザーが存在する。これには、販売店とBitPayのような受け入れをしてくれる可能性のある処理業者とを繋ぐこと、迅速にビットコイン・トランザクションを換金すること、ビットコインで購入したチップやギフトを消費者に渡すこと、価値の貯蔵手段としてビットコインを保管しておくこと、等が含まれる。

こうすることでビットコイン自体に価値があるというアイディアが確立される。単純にニッチな取引を促進させるツールとしてではなく、一度受け取れば清算が可能なものとして見られることになる。特定の目的のために使いたいと一度望まれてしまえば、もうビットコインはどんな状況であれ必要とされるものになるだろう。これでアイディアとしては―”ビットコインには価値がある”と、そう思われるものになった、ということになる。

 

ステップ 3: お金としてのビットコイン (ビットコイン到達地点)

 

最後のステップは、グッズやサービスと引き換えにビットコインを送り、最後の到達地点にビットコインが到達してもそのまま保持しておく、という状態だ。これを実現するためにはビットコインで直接グッズやサービスに支払いを行うことと同様に、事前に完全に100%通貨へと換金された分を残しておく (従業員への支払い、など) ことを提案する、という点が含まれるだろう。

まず、ビットコインは特定の取引を促進するツールとしての有用性を手に入れ、それからお金に換金してグッズやサービスに支払いを行えるものとしての価値を手に入れた。そして直接グッズやサービスなどを購入するために利用されることが可能になり、ついに―”ビットコインはお金である”と、定義されるに至る、というわけである。