スマートコントラクトには、ヒューマンエラーを避けるだけでなくナイジェリアのような国内における不正行為を防止する可能性がある。

世の中に蔓延る多くの悪徳に満ちた行いの中でも、ナイジェリア国内の汚職問題は最も大きな問題のうちの一つだ。政府の中にはかつて汚職と戦おうとしたものもいた。しかしオーソドックスな方法では今までほとんど効果がなかったのが現状である。スマートコントラクトによって、世界最大の黒人国家が世の中に与えてきた汚職にまみれたそのイメージを払拭することは出来るだろうか?

 

ナイジェリアは”途方もなく汚職に満ちている”

 

イギリスの首相、デービッド・キャメロン首相は、ナイジェリアやアフガニスタンを含む”途方もなく汚職にまみれた”国々における主導者の中に、ロンドンで開かれた反汚職サミットに出席する予定だった人もいるとエリザベス女王に話しているところを記者によってキャッチされている。

 

ブハリ大統領が資産返還を要求する

 

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は、サミットに参加するためロンドンの地に降り立った際に、イギリスの首相からの謝罪を求めるのかどうか記者によって尋ねられた。謝罪は要求しないとしたものの、ブハリ大統領は現在英国に眠るナイジェリアの資産返還という具体的な形で見返りを要求した。

ナイジェリア人の多くは、ブハリ大統領がこのような要求をしたことで、国が”途方もなく汚職に満ちた”国であるとその事実を認めたのだと捉えている。

汚職は、現在世界最大の黒人国家であるナイジェリアにとって最も大きな問題である。

事実、ブハリ大統領はナイジェリア国内の経済を食い尽くすヒドラのような、何個もの頭を持ったこの汚職という魔物と戦うことを公約に掲げた結果2015年に大統領に選出されており、ナイジェリアの貧困や国のインフラ整備などに対する責務を負っている。

 

今のところ効果的な手立てはない

 

ナイジェリアにおける汚職問題は、市民と外国人投資家、そのどちらもが既存のシステムをコントロール出来てしまった結果まかり通ってしまったものだ。不動産詐欺、インフラの契約違反、製品やサービスの供給など全てがコントロールされ、国は完全に枯渇しかけているような状態である。

かつての政権による努力や現政権による早期の措置にも関わらず、汚職との戦いは依然として克服できない課題として残っている。目下の問題はどの方法が一番効果的なのかという点だ。今のところ、逮捕、起訴、刑罰などが汚職と対峙する際のナイジェリアにおける効果的な方法として存在しているが、司法システムの限界と法的手続きのルーチンによって、ナイジェリア国民の大多数が、問題が本当に駆逐されるのかどうか疑いを持たざるを得ない状況だ。

中には、この脅威を止める唯一の方法は、贈収賄や不正行為を行えなくするようなシステムを作り、予防策を練るしかないのだと論議している国民も存在している。

起こる前に止める、言い換えれば、汚職は感情論ではなく論理的に戦わねばならない相手であるということだ。

 

汚職と戦うための新たな手段

 

2015年にはナイジェリア前大統領のグッドラック・ジョナサン氏が、法的手段と強力な制度によって効果的に汚職と対抗出来ると語っている―

 

「感情に任せてしまっては汚職問題と戦うことは出来ません。法的手段を以て対抗し、制度を強化することによって対抗するのです。先進国は汚職と対峙するために感情論は持ち出しませんし、そのような国々で汚職に対抗するのは大統領でも首相でもありません。システムです。だからこそ首相や大統領でさえ辞任に追い込まれ、裁かれてしまうのです。ナイジェリアには、自分たちが望み、願い、好むような形で汚職と戦ってくれる強い人間を望んでいる人も居ます。しかし確証はどこにもありません。乱用されることはないだろう、と保証することさえ出来ないのです」