世界最大の非代替性トークン(NFT)市場であるOpenSea(オープンシー)は、バブルへの懸念が高まる中、1日の取引高が大幅に減少していることが明らかになった。

OpenSeaの取引高は今年最低のレベルに

DappRadarによると、8月28日にOpenSeaは500万ドル近くのNFT取引を処理した。これは、5月1日に記録した過去最高額である4億575万ドルから比較して約99%減少していることになる。

OpenSea users, volume and transactions statistics. Source: DappRadar

1日あたり取引高が大幅に減少すると同時に、OpenSeaのユーザー数とそのトランザクションも大幅減となっている。ブロックチェーンベースのデジタルコレクティブルの価格と関心がここ数ヶ月で低下していることを表していると言えるだろう。

このことは、主要なデジタル・コレクター・プロジェクトのフロア価格(NFTを購入する際の最低金額)の低下にも表れている。

例えば、Bored Ape Yacht Club(BAYC)のフロア価格は、5月1日の高値153.7ETHに対して、8月28日には72.5ETHと53%の下落となっている。

BAYC floor price history. Source: CoinGecko

同様に、同じくNFTのトップコレクションであるCryptoPunksのフロア価格は、7月の高値83.72ETHから20%近く下落している。

ETH価格の影響

NFT価格は、それが立ち上げられたブロックチェーンのネイティブ通貨で示される。つまり、イーサリアム上で作成されたデジタルコレクティブルはETHを使って購入されるため、ETHの市場評価が急落すればNFT価格も下落することになる。

弱気なETH市場は、NFT統計の不調の主な要因の1つであるように思われる。注目すべきは、1ETHの価格が2021年11月の4,950ドルから2022年8月には1,500ドルを下回るまでに下落したことだ。

ETH/USD 3-day price chart. Source: TradingView

BendDAOのNFT流動性改善案

先週、NFTの所有者がデジタルコレクティブルを担保に、NFTのフロア価格の30%から40%相当の融資(ETH)を受けられるようにする分散型自律組織BendDAOは、NFT担保をより流動的にするためにプロトコルのコードを変更することを投票で決定した

ETH価格の上昇により、ドル建てでのETHローンの価値が上昇した後で、今回の投票が行われた。一方で、NFTの価格は急落し、BendDAOが保有する担保の価値が低下している。

その結果、BendDAOは、借り手はETH価格の下落によりドル建てローンの支払いができなくなり、貸し手は担保評価額の下落により融資額の回収が困難になるという、独自の債務危機の瞬間を迎えている。

BendDAOの最新の投票では、NFT清算の基準値が95%から70%に変更された。また、NFT担保の入札を増やすため、借り手が清算を回避できる時間を48時間から24時間に短縮した。

しかし、もし仮に市場の流動性が枯渇し続ければ、BAYCを含むNFTのフロアプライスはさらに急落する危険性がある。