金融庁は仮想通貨交換業の新たな登録方針を検討していることがわかった。日本経済新聞社が5日に報じた。今年夏以降、顧客資産の分別管理や株主と経営の分離などの重点5項目について、新規の登録審査に適用するほか、登録業者にも同様の体制を求めるという。

 日経によれば、5つの項目を重点的に審査するという。その中には、顧客と業者の資産の分別管理や、株主と経営の分離といった内部管理態勢の強化などが含まれるという。またインターネットにつないだまま仮想通貨を保管することも禁止し、マネーロンダリングに使われると懸念されている匿名通貨の取り扱いも原則認めないという。

 金融庁の担当者は、「個別の項目をどこまで細かくチェックするか、ノウハウも足りず手探りだった」と日経の記事の中で述べている。今後は重点項目をもとに細部まで確認する方針という。書面審査だけでなく、直接会社を訪れ、システムの稼働状況や人員規模なども確認するとしている。

 金融庁は、コインチェックのNEM流出事件を受け、みなし業者や登録業者の検査を進めていた。検査の過程で、交換業者の杜撰な経営管理体制が明らかになっており、業務停止を含む多くの行政処分が行われていた。行政処分を受けた事業者の中には、顧客から預かった金銭を私的に流用していた事例や、自社発行の仮想通貨を自己勘定と社長個人の売買を対等させて価格形成していた事例などがあった。

 杜撰な経営管理の実態については、4月27日に金融庁で開かれた仮想通貨交換業に関する研究会でも報告され、メンバーの多くからはより厳しい審査を求める声も出ていた

 金融庁の仮想通貨モニタリングチームは発足当初から人員を倍増させ、セキュリティの専門家などを含む60人体制で運営している。だがモニタリングチームは既存業者の検査に追われており、新規登録の審査はストップしている状況だ。