AppleがJaxx CEO、Anthony Di Iorio氏に対して同社のiOSアプリからDashの取り扱いを取りやめるよう指示してからわずか数日後、Jaxxは、7種の異なるプラットフォームに対応した同社のソフトウェア・ウォレット上でイーサリアム・クラシック (ETC)を採用する旨を発表している。

発表は、iPhone 7が発表されたAppleのKeynote September 2016の講演のタイミングに合わせて行われた。iPhone 7で利用できる新バージョンのiMessageの仕様に対応したサード・パーティ製アプリの1つに、ビットコインや既存のフィアット通貨を採用したピア・ツー・ピア決済技術を提供している企業、Circleのアプリが含まれている。

 

Circleが採用した仮想通貨

 

Circleは決済方法の1つとしてビットコインを採用している。これは、キャリアとしてAppleのメッセージ・システムを利用している最近の中国市場を含むいくつかの世界の国々に対する決済サービスを強化したいためと考えられる。

決済機能をiMessageに追加し、顧客が利用する上での”摩擦”を避けるためにCircleが心がけていることについて、Jeremy Allaire CEOは次のように語っている―

 

「友達に支払いをするためにスマートフォンのアプリをインストールして、必要事項の入力やセットアップを行わなければならないというのにはハードルがあります。iMessageのアプリ内で全てが出来てしまえばそれはとても簡単になります」

 

Appleは、ETCを採用するのかどうかについてはまだ明かしていないが、Jaxxによれば同社のiOS用アプリの新バージョンをApple Storeでリリースする予定で、数日中には承認されるだろうとのことだ。

Di Iorio氏は、2016年9月14日の次期リリースで、iOSアプリ版のDashの取り扱いが終了する点について述べている。ハードフォーク後の新しいイーサリアムは既にAppleによって承認されており、特に多数の開発者による支援があり着実に人気が高まっていることから、”Appleはイーサリアム・クラシックも同じく承認するのではないか”と期待しているようだ。

先週のAppleの出した指示文の中では、6つのトークンがサポート済みとされている―ビットコイン、ドージコイン、ライトコイン、イーサリアム、the DAO、そしてリップルである。

承認待ちのため、iPhoneやiPadユーザーなどのApp Store利用者はまだ利用できないが、時価総額が1億2,400万ドルの値を付け、今6番目に価値があるとされるブロックチェーン・トークン、ETCは、Jaxxがサポートする9つのプラットフォームのうち7つのプラットフォーム上で利用可能になる。

 

イーサリアム・クラシックも直に採用の可能性

 

既に他の7つのプラットフォーム上での実装が予定されている以上、Appleがイーサリアム・クラシックを同iOS製品で採用しなかったとしても問題にはならないだろうと、Di Iorio氏は我々コインテレグラフとのEメール上のやり取りの中で語っている。曰く、Appleは今では他のトークンに対しても強い需要があると見ており、Jaxxはそういった仮想通貨をiPhoneやiPadユーザー向けに採用する最適な方法を明確にしたい考えのようだ。

盗まれたDAOの資金が移動し始めているという話の有無に関わらず、ETCの価格が今後も保たれるかどうかについて、Jaxxは特定の仮想通貨の価値や価格の予測などは行っておらず、単純に消費者の選択肢の幅を広げるためのオプションを提供しているにすぎないとDi Iorio氏は語っている。

 

曰く―

 

「イーサリアム・クラシックを実装することは簡単です。イーサリアム・クラシックは現在世界で6番目に価値のある暗号通貨であり、弊社のサービスを利用しているユーザーであれば、ShapeShiftを利用したアセットの分散や売買と同様に簡単にJaxxで自分のETCにアクセスすることが可能です」

 

JaxxはまだDashを採用している

 

DashはiOSアプリからは利用できなくなってしまったが、他の7つのプラットフォームを利用しているユーザーには影響しないだろう。Androidやタブレット、Mac OS X、Windows PCなどのアプリや、Google ChromeやFirefoxの拡張機能などから利用できる。

 

Di Iorio氏はさらにこう語っている―

 

「Dashのチームとは素晴らしい関係性を築くことができましたし、彼らはこのプロジェクトにおける正真正銘のサポーターです。弊社Jaxxにいる我々全員が、常にテクノロジーの先を見て、一歩先を行く努力をし続けてきましたし、それぞれがマルチ・コインな世界が実現した未来を最初に見ることが出来るその中の一人であることを、我々は誇りに思います」

 

先月にDashを採用した後、現在ではETCを採用し、Jaxxは現在トータル5つのトークンをフルサポートしている―残りはビットコイン、ETC、そしてDAOである。2016年6月のローンチから4万人を超えるユーザーがJaxxをダウンロードしているそうだ。

Jaxxは、9つのプラットフォームとデバイス (iMacやiPhoneなども含まれる) の垣根を超えて統一されたユニバーサルな体験を提供してくれるマルチトークン・ブロックチェーンウォレットだ。Jaxxのウォレットを利用すれば摩擦なくウォレット内で換金が行え、クリプト・ツー・クリプトな売買が可能だ。