インド最大のプライベートバンクICICI銀行が、自社のサービスをよりセキュアなものにし、より堅牢なユーザー体験を提供するべくブロックチェーン技術採用を検討している。

インドの新聞Mintによれば、インドのムンバイに本社を置くICICI銀行は、今回の目的のために新たにチーフ・テクノロジー・デジタル・オフィサー (CTDO) のポジションを用意するようだ

CTDOは、直接的にICICIマネージング・ディレクター兼CEOであるChana Kochhar氏のサポートを行い、同銀行に新しく作られたTechnology and Digital Groupの責任者的ポジションを担う役職だ。

新しくこのTechnology and Digital Groupを設立しことで、ICICI銀行はデジタル業界に手を伸ばし、様々な技術製品を提供していく構えだ。

 

ブロックチェーンの採用

 

銀行は常に複雑な精算、決算システムを必要としており、その点ではブロックチェーンは理にかなった技術だといえる。

ICICI銀行は顧客向けの堅牢なサービスを提供するべくブロックチェーンシステムの導入を検討し始めている。その中でも特にデータへのアクセス重複の削減を期待しているようで、ブロックチェーンベースなシステムを導入することで、よりスケーラブルなシステム構築と、コスト削減を実現する狙いがあるようだ。

 

ICICI銀行CEO、Chanda Kochhar氏は次のように語っている―

 

「例えば、これは銀行に限った話ではありません。輸入業や輸出業などを見てみた場合、輸出が行われたその地点から辿り、輸出証明書が受理されるわけですが、それに対して、銀行が確認をし、また別の銀行はファンディングを行う、その一連の流れを追うことは可能だと思いますか?物理的な商品は出港先や着港元で商品の移動の確認が取られます。こういった一連の流れをオープンな元帳システムに組み込むことで、より透明性を高め、不正を減らすことが可能になるのです。データ入力のミスを減らし、2つの銀行が異なった情報を入力してしまうような事態を防ぐことが出来るということです」

 

ICICIはフィンテックの可能性に注視

 

ICICI銀行は様々な折り重なったアプローチを取ることを決断したようだ。独自のサービスを構築していく一方で、他の分野における新たなパートナーシップを結ぶ構えだ。MintはChanda Kochhar氏の発言を引用して次のように書いている―

 

「こういった特別でニッチなプレーヤーたち (フィンテックや、モバイルウォレット企業などを指して) が存在する一方で、銀行は実質全ての作業を銀行の内部だけで行うことが出来るため、テクノロジーという意味では銀行も遅れを取ることなく同じように先進的なソリューションを提供することができるだろう」

 

顧客向けサービスの範囲を超えて

 

ビットコインがその名を世に轟かせてからというもの、ビットコインを支えるブロックチェーン技術は銀行業界ではかなり注目されてきている。ICICI銀行に関して言えば、彼らは顧客向けのサービスだけでなく日々の事務管理に関しても応用できるのではないかとその可能性に期待しているようだ。従業員たちは休暇申請の際には、新たなDigital Group社のツールを利用することで、作業を滞らせることなく保留中の仕事を終わらせ、番号や個人情報を検索できるようになる。

また、今回コインテレグラフはICICI銀行に接触しコメントを求めたのだが、ブロックチェーン技術採用に関する詳しい回答を得ることは出来なかった。