韓国の仮想通貨取引所アップビットは、27日に発生した仮想通貨流出事件について、内部犯行の可能性も含めて調査を進めている。韓国大手メディアの韓国日報が29日に報じた。

アップビットでは27日にホットウォレットに保管していたイーサリアム342,000ETH、約580億ウォン(約53億円)相当が流出した

韓国日報は、アップビットの関係者の話として、同社がハッキングだけでなく、内部犯行の両方の可能性を含めて調査していると報じた。

仮想通貨業界関係者の話として、ホットウォレットから仮想通貨を取り出すにはオペレーターが知っているパスワードが必要な点を指摘。内部の関係者による犯行の可能性も考慮する必要があるためと解説している。

また現地のITメディア「PAXNETニュース」によれば、韓国インターネット振興院(KISA)の関係者は、アップビットの仮想通貨流出が「外部からのハッキングなのか、内部関係者によるものなのかはまだ分からない」とコメント。警察当局とともに事件の詳細を確認中であるとした。

流出したETHは複数のウォレットに移動

アップビットから流出したイーサリアムは現在、複数のアドレスに移動させられている状況だ。

セキュリティ企業のUppsala Securityは、アップビットから流出したイーサリアムを追跡するダッシュボードを公開している

出典:Uppsala Security

既に一部のETHはフォビやバイナンスの取引所にも流入しているようだ。現時点では175の疑わしいウォレットがあり、262のトランザクションが観測されている。少額のETHを複数のアドレスで移動させることで、資金の出所を分かりにくくしているものと思われる。

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