イギリスの下院議員らによる報告書では、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などのいわゆる「担保のない仮想通貨」の取引は、金融サービスではなくギャンブルとして規制すべきだと提言されている。

イギリスは現在、既存の金融資産法と新たな仮想通貨特有のルールを組み合わせた仮想通貨規制の枠組みを検討している。しかし、5月17日の英議会下院の財務委員会報告書で、同委員会は「同じリスク、同じ規制」という原則に従い、個人投資家の仮想通貨取引や投資活動をギャンブルとして規制することを「強く推奨」した

報告書では、価格の変動性と内在価値の欠如が、担保のない仮想通貨が「消費者に対して大きなリスクをもたらすことが避けられない」と主張されている。財務委員会のハリエット・ボールドウィン委員長は、ビットコインとイーサリアムが仮想通貨の総時価総額の3分の2を占めており、どちらも「担保がない」と主張した。

「担保のない仮想通貨による個人投資家の取引や投資活動を金融サービスとして規制することで、消費者がこの活動が実際よりも安全であるとか、保護されていると誤解する『ハロー効果』が生じることを懸念している」

Graph used by the Committee as evidence of crypto’s volatility. Source: Yahoo Finance, U.K. Parliament

イギリスでは、オンラインや対面でのすべてのギャンブルは、ギャンブル法2005に基づいてギャンブル委員会によって規制されている。その監督対象には、ビンゴホール、宝くじ、賭博、オンライン賭博会社、カジノなどが含まれる。

議員たちは、サウサンプトン大学のラリサ・ヤロヴァヤ准教授の書面による声明を引用し、仮想通貨の投機が「中毒性がある」として、仮想通貨取引所やオンライン取引プラットフォーム、その他の仮想通貨資産関連企業はギャンブルと同じ厳格さで規制されるべきだと主張した。

一方で、委員会は一部の仮想通貨とその基盤技術が、国際送金のコスト削減や金融包摂の向上など、金融サービスや市場に利益をもたらす可能性を認めた。イギリスでは、仮想通貨資産に関連するリスクを緩和しながら、これらの開発を支援する効果的な規制枠組みが整備されるべきだとした。「政府が仮想通貨を金融サービスで使用する方法について規制する提案を公表することを歓迎する」と委員会は述べている。

財務委員会は、労働党、保守党、スコットランド国民党の議員11名で構成されている。委員会は、2022年7月に仮想通貨業界に関する調査を開始し、イギリスでの仮想通貨資産の役割を探ることになった。

昨年、国の税務当局である英国税関・歳入庁(HMRC)が実施した調査では、イギリス市民の10%が仮想通貨を保有しており、55%以上が売却したことがないことが明らかになった。チェイナリシスは、2022年の仮想通貨採用指数でイギリスを17位にランク付けしている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン