仮想通貨ツアックスコインが沸騰経済カンボジアで流通へ 巨大モール カジノ 不動産での採用も視野

近年、中国マネーの流入と東南アジア一若い労働人口を背景に、年​率7%の高度経済成長に沸くカンボジア。米ドルが広く使われる同国で、仮想通貨を流通通貨にする可能性のあるプロジェクトが水面下で動き出している。

政府は今年6月、既存の仮想通貨プロジェクトを違法とし一旦市場を浄化。その翌月に総選挙に圧勝したフン・セン政権は、いよいよ政府公認の仮想通貨取引所の第一号「コイニ―エックス (Coinyex)」を認可する予定だ。しかも同取引所が発行する仮想通貨「ツアックスコイン (Tourex Coin)」は、政権中枢による後押しのもと、今後カンボジア全域での決済手段として広まる可能性がある。自国通貨よりもドルが強い同国で、政府が後押しする仮想通貨はメジャーな決済手段になれるのか?

時間のないトレーダー向け「早読み」ポイント

◆カンボジアには中国マネーを筆頭に不動産投資・観光・カジノ等で世界中のマネーが集まる一方で、自国通貨よりも米ドルの需要がある。
同国初の政府公認仮想通貨取引所となるコイニ―エックスが発行するツアックスコイン(TUX)は決済方法として普及する見込み政権人脈の後押しあり。
取引所コイニ―エックスカンボジア政権中枢に人脈有し、「カンボジアを仮想通貨のメッカに」するビジョンを共有し連携。
国民の平均年齢25才と仮想通貨との親和性が高い。来月開催されるコイニ―エックス設立記念セレモニーでは多数の政府要人を迎えカンボジア国民に向け生中継。
ツアックスコイン(TUX)はコイニ―エックス取引所の基軸となる通貨として上場決定している。現在公式サイトからセール中。
次回記事では日本国内で為替両替事業を展開するツアックスの取り組みや著名アーティストとのコラボを紹介。

 

取引所トークンの次の起爆剤は決済シーンだ!

 仮想通貨取引所が発行する仮想通貨の次のテーマはズバリ決済シーンだ。これまでは取引所内での手数料割引や配当金が価格上昇の根拠だったが、あまりにも多くの取引所がしのぎを削ったため魅力が薄れてしまった。一方で、政府公認の仮想通貨取引所が発行するコインが現実社会で広く決済に使えるようになれば実需が生まれ次の上昇フェーズに入る可能性がある。この波をつかんでバイナンス・コイン(BNB)のように200倍上昇する取引所発行トークンも新たに現れるかもしれない(参照記事「取引所コインをガチホすると億れるか検証してみた」)

 その候補ともいえるのが、カンボジア政府によって9月にも公式認可される見込みの仮想通貨取引所コイニ―エックスが発行するツアックスコインだ。日本で「ツアックス」ブランドの為替両替店舗を展開する日本企業が仕掛け人だ。

 カンボジアといえば今一番東南アジアでポテンシャルが高い国といっても過言ではないだろう。特に中国資本の流入が顕著で、不動産・観光・小売・カジノの全ての産業が上昇気流に乗っている。同国で合法的な仮想通貨取引所が設立されれば、規制で行き場のなくなった中国マネーの受け皿になる可能性もある。

 

カンボジア政権幹部も仮想通貨に本腰

 ツアックスはなんと、カンボジア与党の中枢に食い込む人脈を持っている。今回立ち上げる仮想通貨取引所コイニ―エックスも政権との深い連携のもと設立。ちなみに与党であるカンボジア人民党は30年以上政権の座からカンボジアの経済成長を主導しており、盤石の政権といえる。

「今年6月、カンボジア国立銀行 (NBC)、カンボジア証券取引委員会 (SECC) 、国家警察が連携し、同国の仮想通貨業者を一斉に取締った。これは仮想通貨取引業にライセンス制を導入するための布石だった。

と、あるカンボジアに詳しい人物は語る。ライセンス認定が見込まれているのは現在同社だけだというから、政権から一目おかれているのは明らかだろう。

首都プノンペンにある国会議事堂。中国の資金で建てられたという。

 コイニ―エックスはカンボジアの国策に沿って成長していくことが予想される。

 ちなみに日本とカンボジアの外交関係は良好で、先月10日にも自民党は国民議会選挙で圧勝したカンボジア人民党(CPP)の勝利を祝し、2国間の関係を強化することを約束した書簡をフン・セン首相に贈っている。(CAMBODIA BUSINESS PARTNERS報道) 

 

自国通貨より仮想通貨のほうが先に普及するかも

 経済の発展に欠かせないのが安定した自国通貨だ。カンボジア中銀は自国通貨リエルを普及させようと努力しているが、同国では85%の経済活動がドル建てで行われており金融政策に主体性を持てないのが悩みの種となっている。自国の経済状況に最適な政策ではなく、遠く離れた米連銀に左右されてしまうからだ。

 かといってドル建て取引を禁止すれば海外からの投資は鈍るだろう。

 そんなジレンマを解決するために、政府が仮想通貨を研究していても不思議ではない。

 平均年齢25才という若い国民にとって、自国のリエルよりスマホで簡単に操作できる仮想通貨のほうが親しみやすいのは明らかだ。実際にカンボジア中銀は昨年、日本のベンチャー企業と連携しブロックチェーン技術を試している

 「カンボジアを仮想通貨のメッカにーー」。そんな野望が政権内部から聞こえてくる。

 

不動産売買、大型モール、カジノ・・・多岐にわたる決済シーン

 ただし取引所が運営許可されるだけでは、「国家の大計」も絵に描いた餅に過ぎない。

 そこでツアックスコインはカンボジアの政権との繋がりを背景に、カンボジア国内、ひいては東南アジア全域での決済シーンを広めていくという。

 不動産高成長に沸く首都プノンペンは空前の不動産投資ブームだ。2010年に外国人によるコンドミニアム購入が許可されたことが呼び水となり、地価もうなぎ登りだという。そんな中、現政権の後押しで、ツアックスコインを使った決済の可能性もあるという。

不動産開発ブームに沸くプノンペンの街並み

 小売:カンボジアはもともと観光産業が盛んであることに加え、国民が消費に回せる金額も増えている。例えば今年5月にはカンボジア首都プノンペンには東南アジア最大のイオンモールが誕生し大盛況だ。集客目標は年間1400万人だというが、これはカンボジア全体の人口に値する。つまり仮にプノンペンのイオンでツアックスコインを使った決済が可能になれば巨大な実需が生まれることになる。さらに同社が開発中のスマホ向けクーポンアプリ「ツアックスtrip-pon(トリッポン)」を通して、ツアックスコイン保有者に割引クーポンが発行されるとすればなおさらだ。

イオンのカンボジア2号店「イオンモール セン ソック シティ」

日本のイオンが展開する「イオンモール セン ソック シティ」

 カジノカンボジアといえば「第二のマカオ」になりつつあることで有名だ。習近平政権の反腐敗運動を逃れてきた中国の富裕層ギャンブラーをはじめ、隣接するベトナムやタイからも観光客が押し寄せお金を落としていく。カジノ収益に課される税率を大幅に引き下げる「カジノ法案」も成立間近といわれており、ますます盛り上がることが見込まれる。仮に、現在1兆円産業である同国カジノにおいてツアックスコインが採用されれば、同コインへの実需は莫大なものとなるだろう。

 富裕層マネーコイニ―エックス幹部によると、同国に集まる東南アジアの「富裕層マネー」を取引所に集める秘策があるという。これにより取引高や流動性を担保していくとのことだ。

 

COINYEX設立セレモニーに与党や政府機関トップが集結!

 政府のお墨付きでスタートするコイニ―エックスは現地時間で9月28日午後5時から、カンボジア首都プノンペンを緩やかに流れるメコン川の中洲にそびえる「ソッカホテル」でセレモニーを開催する。日本からの参加者も含め、総勢350人規模の会合になる見込みだ。

設立記念イベントが開催されるソッカホテル。国会議事堂は川の向かい側にある。

 そこに集結するのが同取引所開設に関わる政府機関のトップやカンボジア人民党の幹部だ。しかも同国最大のテレビ局がセレモニーの模様を全国ネットで実況生中継するという。

 この場で政府の要人が「カンボジア経済における仮想通貨が果たす役割」を国民に広く伝えることになるのだ。

 カンボジアで始まるツアックスの挑戦。次回は日本国内やマレーシアにおける展開も紹介していく。<終>

 (文・コインテレグラフ制作部)