ビットコインのレバレッジ取引で世界最大の仮想通貨取引所BitMEX(ビットメックス)が米国とカナダのケベック州地域のトレーディング口座の閉鎖に動いているという報道に対して、ビットメックスは16日、コインテレグラフ日本版の取材に答え、「報道には数多くの間違いがある」と答えた。

15日に香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポストは、カナダ・ケベック州の金融市場監督局(AMF)の広報などの話を引用し、ビットメックスが米国とカナダのケベック州地域のトレーディング口座の閉鎖に動いていると報道。また、サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、口座閉鎖の影響とビットメックスの取引高の減少が一致しているのではないかという分析もしていた。

コインテレグラフ日本版の取材にEメールで回答したビットメックスは、6つの「間違い」があると指摘。著者であるジョージナ・リー氏に訂正を求めているという。とりわけ、市場が注目する取引高の減少については、「口座閉鎖」の影響ではなく、仮想通貨相場の低迷やボラティリティ(価格変動幅)の下落など市場環境の変化によるものと解説した。以下がビットメックスからの回答だ。

  1. ビットメックスは、2015年以来、全ての米国内でのトレーダーを禁止してきた。そして、米商品先物取引委員会(CFTC)など米規制機関のガイダンスの下、積極的に口座を閉鎖してきた
  2. ビットメックスは、包括的な利用規約を掲載しており、常にアップデートしている。下記のように利用規約の一部を掲載している。これらの文言は、米財務省の外国資産管理室(OFAC)に従って書かれている。
  3. ビットメックスは、ビットメックスへのトレード参加者が住居や取引場所について嘘の情報を提供した時、口座を閉鎖したりポジションを清算したりする権利を常に持っている。これは通常のプロセスの一貫だ。全ての米国のトレーダーを禁止して以来、過去2、3年でこのポリシーを遂行した例はいくつもある。2018年の第4四半期に変わったことといえば、ビットメックスが警告バナーとポップアップを使って、このプロセスについて全ての潜在的な新規ユーザーに通知し始めたことだ。
  4. サウス・チャイナ・モーニングポストが、ビットメックスに近い関係者の話として「ビットメックスの収入の大半がアジアである一方、米国は最近成長著しい市場だった」と書いたが、これは真実ではない。なぜなら、2015年以降、米国でのトレーディングは禁じられているからだ。
  5. サウス・チャイナ・モーニングポストが、ビットメックスに近い複数の関係者の話として、「ビットメックスが米国の口座を閉鎖するまで、米国の利用者は全体の約7分の1を占めていた」と報じたが、これは真実ではない。なぜなら、2015年以降、米国でのトレーディングは禁じられているからだ。
  6. サウス・チャイナ・モーニングポストが、「ビットメックスの米国とカナダでの口座閉鎖と過去1ヶ月ビットメックスの取引高の減少が一致している」と報じたが、これもまた間違っている過去2、3カ月で取引高が減少しているのは、1. ビットコイン価格下落と時価総額の減少 2. 仮想通貨のボラティリティの減少 3. 仮想通貨トレーディングコミュニティー全体での取引高の減少が要因と考えられる。

(引用元:Bitmexの利用規約 米国やカナダのケベック州に加え、キューバやイラン、北朝鮮などでポジションを持つことなどが禁じられている旨が書かれている)

ビットメックスの声明によると、最近ビットメックスが突然、米国やカナダのケベック州の口座を閉鎖の開始したわけではなく、むしろ米国に関しては2015年以降「積極的に」問題ある口座に関して閉鎖を行ってきた。また、ビットメックスの最近の取引高減少と口座閉鎖の因果関係はないという見解も示した。