金融機関や保険会社によるブロックチェーン導入の失敗の裏にあるキーファクターとして、彼らが分散型であるということがどういうことなのか理解に欠けているという点がある。

ブロックチェーン技術は、金融、不動産、保険業などのデータに依存した如何なる業界にとっても、最善の救済策として推奨されてきたものだ。しかし、その技術は未だ効果的に実装されているとはいえない。意欲的にテクノロジーと業界内の人気のあるトレンドを統合させようとしてきた数十億ドル規模の法人団体はブロックチェーンの奇跡を信じてはいるが、しばしば基礎の理解が欠落しており、結果的に失敗するケースがある。

 

銀行への挑戦

 

ビットコインが本気で勢いをつけ始め、世界中の大手銀行サービスプロバイダーの市場独占に対して勝負を挑み始めてからというもの、銀行はすぐさま独自の仮想通貨やブロックチェーン・ネットワークを造りだし、目に見えた損失を中和しようと試みている。

銀行と大手金融機関は、ビットコインユーザーが仮想通貨を利用して得たものと同じアドバンテージを得ることができるようなビットコインのレプリカを作り出すことを望んでいたのだろう。銀行はブロックチェーン技術をリサーチし、銀行業を最適化できるようなキラープラットフォームのようなものを開発するために、素早く身をひるがえして、評判の良い企業へと姿を変えていた。

 

分散型でないということ

 

しかし、このアプローチには1つ大きな問題があった。彼らはビットコインを成功に導いた最も重要なブロックチェーン技術の側面を無視していたのだ―それは、分散型である、ということである。銀行、保険会社、そして不動産会社などはブロックチェーン技術を利用することで、新技術を導入した既存のオペレーションの運用方法を模索し始めている。そうする一方、彼らはブロックチェーン技術を利用することによって最適化できるはずであろう、彼らのシステム側の可能性も模索していたのだ。

 

自転車にジェットエンジンを積み込んで

 

しかし、本質的に言えば、それは、より高速に旅をするために自転車にジェットエンジンを積み込んだようなものだったのだ。だからこそ銀行のアプローチはロジックに欠けて失敗し、未だに運用に失敗しているのだ。さらに悪いことに、実際に運用されているというブロックチェーン技術の実証が、ただの一つも公に公開されていないという事実がある。

 

ブルームバーグ: “ ”ブロックチェーン”というタームは、私欲のために誤用され過ぎてきたため、最早誰もその意味するところを知る者はいない。”  https://t.co/Enc5dikS9p

 

― Wayne Vaughan (@WayneVaughan) 2016年9月2日

 

もしも銀行が、分散型であるということがビットコイン・ネットワークにおけるコスト削減と効率化を図るためのキーファクターであると認識していたのならば、ブロックチェーン技術の実装に成功していただろう。しかしながら、そうであれば銀行は、ビットコインを受け入れ、採用する準備が出来ているということなのだ。

彼らはまだ自らの敗北を認める準備は出来ていないだろう。