米国最大手の仮想通貨取引所コインベースに対して、成長スピードについていけず顧客対応など全く準備ができていないとする批判が噴出している。ビジネスインサイダーが22日に報じた。22日には金融庁が仮想通貨交換業の登録業者6社への業務改善命令を発表したが、米国でも急激な仮想通貨市場の拡大に対応できない取引所の姿が浮き彫りになっている。

 ビジネスインサイダーが引用した米デジタルメディアのマッシャブルによると、コインベースの顧客から「自分の資金にアクセスできない」や「期日になっても振り込まれない」などの不満が上がっている。中にはコインベースは「犯罪的」といった声や「コインベースは私のお金をホールドして投資しているのではないか」といった声まで出ているという。さらにコインベースの管理体制が不十分なことから「損失を出した」と訴える顧客もいるそうだ。怒り心頭の顧客は、コインベースは顧客より成長を優先させていると批判。「実際にサービスを提供できないと知っているのにサービスを続けている」と話したという。

 マッシャブルによると、コインベースは少なくとも顧客の問い合わせに十分に答えられていないという。また送金サービスや履歴の確認、取引の不具合への対応も遅れているという。マッシャブルは、米国の情報公開制度であるFOIAを使って米国証券取引委員会やカリフォルニア州に対してコインベースの顧客に関するデータの開示を請求。不満などが書かれた134ページのファイルを入手した。

 背景にあるのはコインベースの急成長だ。コインベースの2017年10月時点の顧客数は1170万で1年前から約150%も増加したという

 コインベースの広報は報道に対して次のように説明した。

 「2017年の11月と12月だけで取引高295%も急増した」

 またコインベースはマッシャブルに対して過去2、3ヶ月の間にサポートチームの人員を「150%以上」増やしたと釈明。現在は「トラブルをより素早く解決して、仕事のやり残しを95%減らせる」と話したという。

 ただコインベースは、サービスの多様化を進めて顧客層の拡大を図っている。最近では日本市場への参入計画を明かしたり機関投資家を対象にした新商品を立ち上げたりしている。また今月に入ってからは証券会社の買収によって国証券取引委員会(SEC)に認可されたブローカー・ディーラーになるべく動き出したことを明らかにした