IBMが米国と連動するステーブルコイン(安定通貨)の発行するため、金融テクノロジーのスタートアップ・ストロングホールドと組んだことが明らかになった。17日にロイター通信などが伝えた。他の仮想通貨に見られるボラティリティを小さくすることなどが狙いだという。

 このステーブルコインは、「ストロングホールドUSD」と呼ばれ、17日から試験的に発行されている。米ドルと1対1で連動しているという。ステラのブロックチェーンネットワークが使われており、フォーチュンによれば、ステーブルコインのステラネットワークでの発行は初めてだという。

 IBMは、2017年以来、国際送金の手段としてステラネットワークに注目していて、今回のステーブルコイン導入もその一環という。フォーチュンのインタビューに答えたIBMの幹部は、IBMはこれまでステラネットワークのトークンであるルーメンズ(XLM)をブリッジにして法定通貨の交換を行なってきたが、法定通貨間のレートの変動やステラのボラティリティの高さに悩まされてきたと話した。この幹部は、ステーブルコインは上記のような問題を解決できて法定通貨のデジタル版となり得るので「コスト削減の上で大きな役割を果たす」と期待しているという。

 ステーブルコインといえば有名なのはテザーだが、本当に発行済のテザーを保証するだけのドルを保有しているのか、昨年12月に価格操作に使われたのではないかなど、疑いの目が向けられてきた。

 他にステーブルコインに関しては、ペイパル創業者の一人でもあるピーター・ティール氏などが出資した「リザーブ」も注目されている。完全分散型の仮想通貨を目指すリザーブは、「他の仮想資産をスマートコントラクトでロックアップ、つまり売却できないようにすることで、リザーブトークンの裏付けとし、価格を安定させる」仕組みとなっている。