中国のモバイル決済アプリ「アリペイ(支付宝)」がアリペイ口座をビットコインの相対(OTC)取引に利用するユーザーに対して強硬姿勢をとっている。ウェブサイト「北京ニュース」が動向を伝えている。

 圧倒的な人気を誇るアリペイはアリババグループ関連会社のアント・フィナンシャルが運営しており、17年8月時点でのユーザー数は4億人を数えている。同社は先日、その評価額が1500億ドルにまで達した。

 北京ニュースによると、アリペイは現在、同アプリのネットワークをビットコインの相対取引に利用するアカウントを制限、さらには永久ブロックまで行う措置を講じるとともに、「主なウェブサイトとアカウント」に対する調査システムも設置している。

 中国当局が今年1月に実施したばかりの取り締まりでは特にピアツーピア(P2P)やOTCなどの方式による取引プラットフォームが禁止された。これは17年9月から実施されている仮想通貨と法定通貨間の取引やイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に対する包括的禁止に追加する形だ。

 中国の仮想通貨コミュニティ「8BTC」の共同創設者であるレッド・リー氏はアリペイによる発表のスクリーンショットをアップロードしながら、「アリペイ(#alipay)がビットコインOTC取引に関与するアカウントをブロックしている」とツイートした

 さらに北京ニュースはアント・フィナンシャルの関係者による話を引用し、この金融サービス大手企業が仮想通貨に関連する虚偽の「プロパガンダ」の危険性についてユーザーに啓蒙することを目的とした「リスク予防」プログラムを実施する予定であると伝えている。

 アント・フィナンシャルのエリック・ジンCEOはICOを厳しく批判している。3月にはICOというコンセプトは「無意味」だと断言した。

 とはいえ、ジンCEOの仮想通貨への辛辣なスタンスはブロックチェーンに対する彼の根強い楽観主義が相殺している。ジンCEOは17年、ブロックチェーン技術が今後「間違いなく」、アリペイに「深く」実装され、最終的にはその決済アプリのベースプロトコルとして機能するようになることを見込んでいると述べている

 アント・フィナンシャルは今年1月、シリーズCの資金調達ラウンドで140億ドルを確保する「正式契約」を投資家らと結んでいる。同社はこの資金をブロックチェーンと関連する技術的イノベーションの追求に使うつもりだ。

 アリペイに関する報道は中国で猛烈に強められている反仮想通貨対策の直後に起きている。

 今週、北京市朝陽区における全ての商業会場で仮想通貨関連イベントの開催を禁止された。

 また中国の主要ソーシャルメディアプラットフォーム「ウィーチャット(微信)」は21日、今月に入ってから導入された規則に違反して仮想通貨の「誇大広告」を出した疑いのある仮想通貨およびブロックチェーン関連アカウント多数を永久ブロックした

 さらに、OTCプラットフォームで利用されているものを含むサードパーティによる仮想通貨決済チャネルの「一掃」を強化するため、新たな対策も進行中だとも報じられている