イングランド銀行(英中銀)は27日、即時グロス決済(RTGS)サービスと分散型台帳技術(DLT)との連携を調べるため、概念実証(PoC)に取り組んでいると明らかにした

 RTGSシステムは特別な決済システムで、銀行間の送金が、リアルタイムにグロス(総額ベースで実行される。つまり、他の取引に紐付けられることなく、1対1ベースでの処理とほぼ同時に取引が完了する。RTGSシステムは通常、即時の決済を要する高額の取引に使用され、国の中央銀行が運用する。

 イングランド銀行は昨年3月、RTGSの計画表を示し、サービス更新により、多様で柔軟な決済モデルが実現でき、決済インフラが中央銀行の資金に確実にアクセス可能になると述べた。その後、ブロックチェーン技術に対応した決済サービスを開発する意思を表明したが、DLTへの完全移行というアイデアは最近になって否定した。理由はテクノロジーの未熟さにあるとし、以下のように述べている。

「DLTは次世代RTGSの中核を成すほど十分に成熟していないという結論にいたったが、広範なポンド市場でDLTの開発が行われる際に、新たなサービスとDLTとの連携能力を確保することに優先的に取り組んでいく」

 

 イングランド銀行は、革新的なテクノロジーを使用した決済ソリューションを開発しているバトン・システムズ(Baton Systems)やクリアマティクス・テクノロジーズ(Clearmatics Technologies)、R3などと提携していく。プロジェクトの参加者は、DLTベースの決済システムと更新されたRTGSサービスとの連携能力を調べ、サービスの機能性を拡張できる方法を見極めていく。イングランド銀行は、得られた知見について今年後半に公表する予定だ。